竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
「アイリスは――――戻って来たくなかった?」
旦那様のセリフに心が震えた。
彼の言葉はきっと『俺のところに』って続くんだと思う。
なんて答えようか迷って、わたしは首を横に振った。
「最初は……このままずっと、夢の中に居たいって思いました。大好きな人に大好きって言われて、大好きな人に大好きって言うことが出来て。たくさんたくさん愛されて、幸せでした。
だけど、旦那様の声が聞こえて――――旦那様がわたしに会いたがってるって分かって……だから、帰ろうって思ったんです」
旦那様が目を見開く。切なげな表情。まるで『当たり前だろう?』って言われている気がして、胸のあたりがキューって疼く。
(旦那様はわたしを必要としている)
ずっとずっと、不安だった。
だって今、わたしと旦那様を繋ぐものは何もない。恋人として愛情を確認し合っているわけでも、親子として血が繋がっているわけでもない。気持ち一つでさよならできる、不確かな関係。それは今でも変わらない。
だけど――――。
「攫われてきたとき……旦那様と関わるなって言われたんです。旦那様はミモザさんと結婚するんだって。それを聞いてわたし、すごく、すごく嫌でした。もう目覚めたくないって、そう思いました」
ずっとずっと、自分の気持ちを旦那様に伝えるのが怖かった。こんな子どもがなにを言ってるんだって。おまえじゃ無理だって言われるのが怖くて。子どもが言っても変じゃない、ギリギリの言葉を選んでいた。
だけど、それじゃ本当の気持ちは伝わらない。
このままじゃダメだって強く思った。
「だって……だってわたしは、旦那様のことが好きだから! この世の中の誰よりも、何よりも、旦那様のことが大好きだから! 側に居られないなんて嫌! 他の人と結婚しちゃうなんて嫌です」
旦那様のセリフに心が震えた。
彼の言葉はきっと『俺のところに』って続くんだと思う。
なんて答えようか迷って、わたしは首を横に振った。
「最初は……このままずっと、夢の中に居たいって思いました。大好きな人に大好きって言われて、大好きな人に大好きって言うことが出来て。たくさんたくさん愛されて、幸せでした。
だけど、旦那様の声が聞こえて――――旦那様がわたしに会いたがってるって分かって……だから、帰ろうって思ったんです」
旦那様が目を見開く。切なげな表情。まるで『当たり前だろう?』って言われている気がして、胸のあたりがキューって疼く。
(旦那様はわたしを必要としている)
ずっとずっと、不安だった。
だって今、わたしと旦那様を繋ぐものは何もない。恋人として愛情を確認し合っているわけでも、親子として血が繋がっているわけでもない。気持ち一つでさよならできる、不確かな関係。それは今でも変わらない。
だけど――――。
「攫われてきたとき……旦那様と関わるなって言われたんです。旦那様はミモザさんと結婚するんだって。それを聞いてわたし、すごく、すごく嫌でした。もう目覚めたくないって、そう思いました」
ずっとずっと、自分の気持ちを旦那様に伝えるのが怖かった。こんな子どもがなにを言ってるんだって。おまえじゃ無理だって言われるのが怖くて。子どもが言っても変じゃない、ギリギリの言葉を選んでいた。
だけど、それじゃ本当の気持ちは伝わらない。
このままじゃダメだって強く思った。
「だって……だってわたしは、旦那様のことが好きだから! この世の中の誰よりも、何よりも、旦那様のことが大好きだから! 側に居られないなんて嫌! 他の人と結婚しちゃうなんて嫌です」