竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
(結婚⁉ 旦那様、結婚って言った⁉)


 脳内は軽くパニック状態だし、胸が焼けるみたいに熱い。喉の奥からせり上げてくる何かを呑み込みながら、わたしは旦那様をまじまじと見つめる。

 旦那様の表情は、真剣そのものだった。決して冗談で言ってるようには見えない。
 美しい緑色の瞳が不安げに揺れ動いている。彼の瞳に映っているのはわたし。切実な感情がそこにある。


「旦那様――――ミモザさんと、結婚するんじゃないんですか?」


 だって、そう聞かされたもの。
 『違うんだ』って期待を込め、わたしは旦那様に尋ねる。


「しないよ。俺が結婚したいと思うのはアイリスだけだ」


 旦那様はそう言って、わたしの手をギュッと握った。
 ずっとずっと、求めていた言葉。涙がポロポロと零れ落ちる。喉の奥がツンと痛んだ。


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