竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
 焦れたわたしが手を伸ばすと、旦那様はいつも困ったように微笑んで、そのままやんわりと退けてしまう。もどかしい。旦那様に触れられないことが、あまりにも。

 だからといって、嫌われたわけじゃないってことは分かっている。
 寧ろ愛されている自覚はあるし、わたし自身旦那様をめちゃくちゃ愛している。

 あれから旦那様からはミモザさんのミの字も聞かないし、他の人と結婚話が上がっている感じもしない。それはわたしとの約束を覚えてくれてるからだって信じている。


(だけどなぁ)


 わたしはもう、十歳のあの時とは違う。ちゃんとした大人だ。

 正確にはあと一週間。あとたったの一週間でわたしは十五歳――この世界における成人を迎えることになる。
 お酒を飲むことも、結婚をすることも、子を成すことも世間的に許される、そんな年齢に到達している。

 それなのに旦那様は、わたしとの関係性を変える気がないように見える。そのことが焦れったくて堪らない。


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