竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
 因みにニコラスは、この四年の間に三回も訴訟を起こされてしまった。理由は全部痴情の縺れ。本当にいつか、誰かに首を狙われてもおかしくないとわたしは思う。


「ねぇ、アクセス達の目には人間ってどんな風に見える? そもそも子どもだとか大人だとか、そういう概念はあるの?」

「どんな風……? まぁ、大きくなったとは思うが――――確かに、大人になったとか、そういう風にはあまり思わないな」


 聞かれて初めて考えたんだろう。アクセスは言葉を選びながらそう口にする。


「そっかぁ……そしたら、旦那様もそういう認識なのかなぁ」


 呟きながら、唇が尖る。

 前にアクセスは、人間は魔族とは似て非なるものだと――――彼等にとって人間はゴリラやチンパンジーのようなもの――――だと教えてくれた。その認識がそっくりそのまま当てはまるとすると、確かに猿に対して『大人になった』とか、そういう風には考えないような気もする。

 でも、そうだとしたら、わたしと旦那様の関係はずっとこのまま。変わらないってことになってしまう。
 それじゃあ困る。すっごく困る。
 だって、旦那様とわたしは結婚するんだもの。やっぱりこのままじゃダメだ。


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