竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
それから数十分。たっぷりとスイーツを堪能してお店を出た時には、空はどっぷりと暮れていた。
(こんな遅くに一人で帰ったら、さすがに旦那様に怒られちゃうかなぁ?)
ニコラスとアクセスが一緒なのを良いことに、時間の確認を忘れていた。
とはいえ、旦那様から貰ったお守りは持っているし、深夜と言う程遅い時間でもない。そうそう危ない目には遭わないだろう。
そう思った時だった。
「あっ……」
白銀の翼。まるで夜空に浮かぶお月様みたいに、そこだけがハッキリと輝いて見える。美しいプラチナの髪が風に揺れて、エメラルドみたいな瞳が真っ直ぐにわたしを見つめる。
「旦那様!」
口にしつつ、わたしは旦那様に駆け寄った。
迎えに来てくれたのかなって思うと、やっぱり嬉しくて堪らない。
きっといつもみたいに避けられちゃうだろうなぁって思いつつ、少しだけ勢いを付けて旦那様に飛び込む。