竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
 きっと、旦那様に他意はない。邪なのはわたしの心の方だ。
 でも、わたしは旦那様のことを好きで好きで堪らないんだし。心も身体も成長しているんだもの。こういう勘繰りもある意味健全だと思う。

 とはいえ、旦那様の問い掛けにそんな返答をするわけにはいかない。わたしはコホンと咳払いをした。


「嫌なわけないです。わたしはずっと、旦那様に触って欲しいって――――前みたいに抱き締めてほしいって思ってましたから」


 思いがけず、咎めるような口調になってしまった。
 旦那様は目を細めて笑うと、わたしを抱く腕に力を込める。


「俺もアイリスと同じだよ」


 旦那様の返答に、胸がキュンと疼く。


「本当ですか?」


 旦那様がわたしに触れたいと思っている――――そのことがあまりにも嬉しくて。確かな事実にしたくて。わたしは思わず聞き返す。


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