竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~

31.一年で一番大切な日

 それからあっという間に数日が経ち、わたしの誕生日前日となった。

 旦那様はその日予告通り、早く帰って来てくれた。
 お土産にアルコール度数低めのお酒とおつまみ、それからテーブルに花束を飾り、「日付が変わったら一緒に飲もう」って笑う。感激で胸が熱くなった。


「それではリアン様、アイリス様。僕はこれで失礼します」


 ロイがそう言って恭しく頭を垂れる。

 ロイはこの五年の間にお嫁さんを貰い、五匹の子どもを抱えるお父さんになった。
 今も変わらず旦那様にお仕えしてくれてるけど、もうこの屋敷で寝泊りをしていない。すぐ近くにお家を建てて、家族水入らずで暮らしている。
 子ロイ達はめちゃくちゃ可愛くて、暇を見つけてはしょっちゅうモフモフしに行っている。わたしの癒しの空間だ。


「アイリス様、明日は気合を入れて、お誕生日会の準備をさせていただきますね」


 ロイはわたしを見上げながら、キラキラと瞳を輝かせる。

 明日の誕生日当日は、ニコラスやアクセス、アクセスのお嫁さんであるヒバリちゃんや、ロイの家族がお祝いに来てくれることになっている。
 もう何か月も前からニコラス達と一緒に予定を立て、準備をしてくれていた。


「ありがとう。楽しみにしてるね」

「お任せください! アイリス様の記念すべき成人の日ですから。」


 そう言ってロイはドンと胸を叩くと、手を振り家に帰って行った。旦那様と並んでロイを見送る。いつもと同じ行動なのに、何となく緊張感が走った。


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