竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
「アイリスが好きだよ」


 旦那様は真剣な表情でそう口にする。
 彼が『好き』と言葉にしてくれるのは、これが初めてだった。
 数年分の不安とか焦燥感とか、色んなものがぐずぐずに崩れ落ちて、幸福感へと変わっていく。


「アイリスが好きだ」


 わたしがちゃんと受け取れるように、旦那様は言葉を繰り返す。
 涙がポロポロ零れ落ちて、当分止まりそうにない。旦那様はそれを唇で拭いながら、わたしのことをギュッて抱き締めた。


「あの日の約束を覚えている?」


 旦那様は尋ねた。あの日がどの日かなんて、聞かなくても分かる。


『どうか、約束して。君が大人になった時……俺がアイリスの一番になれたら――――その時は俺と結婚してほしい』


 一瞬たりとも忘れたことはなかった。
 だって、その約束を胸に、わたしは五年間、頑張って来たんだもの。


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