竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
「俺はアイリスの一番になれただろうか?」


 旦那様の心臓がドキドキ鳴り響く。わたしと同じか、それ以上に速い。
 嬉しくて胸が締め付けられるような気分だった。
 コクコク頷くと、旦那様はわたしの額に口付けて、キツくキツく抱き締める。切なげに笑う旦那様が堪らなく愛しい。


「わたしも旦那様のことが好きです。大好きです。この世の中の誰よりも、何よりも、好き」


 ようやく想いを口にできたわたしは、涙を流しながら笑った。
 旦那様は眉間に皺を寄せ、わたしのことを抱き締めた。嗚咽が密かに漏れ聞こえる。


(あぁ……わたし、こんなにも愛されていたんだなぁ)


 長かった。でもそれは、必要な時間だったんだって今なら言える。

 だって、わたしは――――旦那様は――――お互いを強く必要としていたから。だから、出会わずにはいられなかったんだって、そう思う。
 目尻が少しだけ赤くなった旦那様が、わたしを見つめる。


「アイリス――――俺の、お嫁さんになってくれる?」


 旦那様の緊張がこちらにまで伝わってくる。だけど、答えなんて最初から決まってた。


「喜んでっ!」


 微笑み合いながら、わたしたちは何度も何度も口付けを交わした。
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