竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
32.変わる朝。お出掛けと、それからドレス
夜が明けて、今日はわたしの誕生日当日。
いつものようにキッチンに立ち、旦那様のためにパンを焼く。
「おはよう、アイリス」
「旦那様……! おはようございます」
背中に感じる大きな温もりに、わたしは心臓をときめかせる。
いつもと同じようでいて、全然違うことがある。
旦那様はわたしの顔を上向けて、そっと触れるだけのキスをした。甘くて、あまりにも甘くて、わたしはギュッと目を瞑る。旦那様の背中に抱き縋ると、ミントの香りが胸いっぱいに広がった。
ついこの間まで、手すら握らせてもらえなかったというのに、恋人としてこんな風に触れ合えることが嬉しくて堪らない。
許されている。寧ろ求められている。そのことが幸せだった。
「ようやく、だ」
「何がですか?」
スリスリと甘えるように囁く旦那様に、わたしは尋ねる。旦那様の綺麗な髪の毛がすぐ側にあって、引寄せられるみたいによしよしと撫でる。
前世とは違って、旦那様はわたしよりもずっとずっと年上なのに。そうすることが正解みたいに思える。
「ずっとずっと、アイリスに触れたかった。たくさんキスして、思い切り抱き締めたかった」
やっと叶った――――って熱い吐息と共に吐露する旦那様に、わたしは唇を尖らせる。
いつものようにキッチンに立ち、旦那様のためにパンを焼く。
「おはよう、アイリス」
「旦那様……! おはようございます」
背中に感じる大きな温もりに、わたしは心臓をときめかせる。
いつもと同じようでいて、全然違うことがある。
旦那様はわたしの顔を上向けて、そっと触れるだけのキスをした。甘くて、あまりにも甘くて、わたしはギュッと目を瞑る。旦那様の背中に抱き縋ると、ミントの香りが胸いっぱいに広がった。
ついこの間まで、手すら握らせてもらえなかったというのに、恋人としてこんな風に触れ合えることが嬉しくて堪らない。
許されている。寧ろ求められている。そのことが幸せだった。
「ようやく、だ」
「何がですか?」
スリスリと甘えるように囁く旦那様に、わたしは尋ねる。旦那様の綺麗な髪の毛がすぐ側にあって、引寄せられるみたいによしよしと撫でる。
前世とは違って、旦那様はわたしよりもずっとずっと年上なのに。そうすることが正解みたいに思える。
「ずっとずっと、アイリスに触れたかった。たくさんキスして、思い切り抱き締めたかった」
やっと叶った――――って熱い吐息と共に吐露する旦那様に、わたしは唇を尖らせる。