竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
「リアンは前世『きずな』という名前だったのか?」


 アクセスがわたしにそう尋ねる。驚いてる様子はない。多分、薄々気づいていたんだと思う。わたしはコクリと頷いた。


「きずな君は自殺するような人じゃなかった。優しくて、いつも楽しそうに笑ってて。死ぬ理由なんて一つもなかったのに……!」


 そんなきずな君を死なせてしまったのだとしたら、わたしは妻失格だ。
 現世でも同じ。
 そんなわたしに旦那様の妻になる資格なんてあるのだろうか?


「――――アイリスちゃん。君は自分の最期を覚えている?」


 ニコラスが尋ねた。わたしは首を横に振って答える。


「じゃあ、リアンの最期は?」

「覚えて、いません」


 答えてから両手で顔を覆った。涙が止め処なく流れていく。


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