竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
けれど、想いを打ち明けることは案外ハードルが高かった。
自分の気持ちに気づいて以降、逢璃に対してひどく臆病になってしまったからだ。
「きずな君!」
逢璃が俺の名前を呼ぶ度、どうしようもなく嬉しいと感じる。笑顔を独り占めしたくなる。
けれど、もしも想いを打ち明けて、俺の名前を呼んでくれなくなったら? 笑顔を向けてくれなくなったら? そう思うと、すごく怖かった。怖くて堪らなかった。
(俺は、逢璃を失うことが、一番怖い)
第一、逢璃には既に好きな人がいる。それを理由に、彼女は他の男の告白を断っているのだから――――。
「ねぇ……きずな君、この間女の子に呼び出されてたでしょう?」
思わぬ言葉に顔を上げると、逢璃が眉毛をへの字型にして、俺のことを見つめていた。
(呼び出し……)
「あぁ」
そういえば、というぐらいの認識だけれど、思い当たる節があった。同じクラスの女子に『付き合って欲しい』と言われたのだ。
「なんてお返事したの?」
逢璃が質問を重ねる。告白のために呼び出されたのだと分かっているようだ。
逢璃の頬は少しだけ紅くなっていた。いつもと違う、少し拗ねたような表情に胸が高鳴る。
(可愛い)
反射的に彼女の頬に手を伸ばしそうになって、思い留まった。獣の如く喉が鳴る。
こんなにも逢璃のことが好きなのに。逢璃にしか興味がないのに。他の人と付き合えるわけなんてない。それが、逢璃には分かっていないらしい。
自分の気持ちに気づいて以降、逢璃に対してひどく臆病になってしまったからだ。
「きずな君!」
逢璃が俺の名前を呼ぶ度、どうしようもなく嬉しいと感じる。笑顔を独り占めしたくなる。
けれど、もしも想いを打ち明けて、俺の名前を呼んでくれなくなったら? 笑顔を向けてくれなくなったら? そう思うと、すごく怖かった。怖くて堪らなかった。
(俺は、逢璃を失うことが、一番怖い)
第一、逢璃には既に好きな人がいる。それを理由に、彼女は他の男の告白を断っているのだから――――。
「ねぇ……きずな君、この間女の子に呼び出されてたでしょう?」
思わぬ言葉に顔を上げると、逢璃が眉毛をへの字型にして、俺のことを見つめていた。
(呼び出し……)
「あぁ」
そういえば、というぐらいの認識だけれど、思い当たる節があった。同じクラスの女子に『付き合って欲しい』と言われたのだ。
「なんてお返事したの?」
逢璃が質問を重ねる。告白のために呼び出されたのだと分かっているようだ。
逢璃の頬は少しだけ紅くなっていた。いつもと違う、少し拗ねたような表情に胸が高鳴る。
(可愛い)
反射的に彼女の頬に手を伸ばしそうになって、思い留まった。獣の如く喉が鳴る。
こんなにも逢璃のことが好きなのに。逢璃にしか興味がないのに。他の人と付き合えるわけなんてない。それが、逢璃には分かっていないらしい。