竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
5.祈りと誓い
旦那様に連れられて屋敷の外に出ると、敷地の中に両親のお墓が用意されていた。
白く立派な墓石に、お父さんとお母さん、二人の名前が綺麗に彫られている。指で二人の名前をなぞってみても冷たく無機質で、温かかった二人のぬくもりはそこにはない。あぁ、二人は本当にいなくなっちゃったんだなぁと実感した。
昨夜、わたしは二人の亡骸は殆どまともに見ることが出来なかった。逃げることに必死だったし、旦那様に命を救ってもらった後で気を失ってしまったためだ。けれど、襲われたときの衝撃や二人の悲鳴、血の臭いを身体が覚えている。現実を受け止めるにはそれで十分だった。
「ありがとうございます、旦那様」
こうして両親をきちんと弔うこと、二人の死と向き合うことができたのは旦那様のおかげだ。『両親が亡くなったのにあまり悲しくない』、自分で自分を『薄情』だなんて思っていたけど、本当は虚勢を張っていたんだなぁってよく分かった。心からの感謝を込めて、わたしはゆっくりと頭を下げた。
「……悲しいか?」
わたしの傍らで、旦那様が尋ねる。わたしは少しだけ考えて、素直にコクリと頷いた。
白く立派な墓石に、お父さんとお母さん、二人の名前が綺麗に彫られている。指で二人の名前をなぞってみても冷たく無機質で、温かかった二人のぬくもりはそこにはない。あぁ、二人は本当にいなくなっちゃったんだなぁと実感した。
昨夜、わたしは二人の亡骸は殆どまともに見ることが出来なかった。逃げることに必死だったし、旦那様に命を救ってもらった後で気を失ってしまったためだ。けれど、襲われたときの衝撃や二人の悲鳴、血の臭いを身体が覚えている。現実を受け止めるにはそれで十分だった。
「ありがとうございます、旦那様」
こうして両親をきちんと弔うこと、二人の死と向き合うことができたのは旦那様のおかげだ。『両親が亡くなったのにあまり悲しくない』、自分で自分を『薄情』だなんて思っていたけど、本当は虚勢を張っていたんだなぁってよく分かった。心からの感謝を込めて、わたしはゆっくりと頭を下げた。
「……悲しいか?」
わたしの傍らで、旦那様が尋ねる。わたしは少しだけ考えて、素直にコクリと頷いた。