竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
(ここが学校じゃなかったら……)


 いや、もしも今ここに他の生徒がいなかったら、俺は間違いなく逢璃を抱き締めていた。
 悔しい。悔しくて堪らない。
 仕方がないから手を握り、俺は必死に煩悩を誤魔化す。


「どうかな?」


 逢璃はそんな俺の葛藤も露知らず、不安そうに首を傾げている。


「俺も逢璃を誘おうと思ってた。明日も会いたいって」


 言えば、逢璃は花が綻ぶ様に笑う。


「良かったぁ! きずな君、週末は勉強が忙しいかなぁって思って」

「そんなことないよ。まだ2年だし、俺、週末まで頑張る程、真面目じゃない」

「そうなの? でも、本当に良かった」


 逢璃は繋いだ手をぶんぶん振りながら、嬉しそうに歩く。
 俺も嬉しくて、楽しみで、堪らなかった。


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