竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
(それにしても)


 私服の逢璃はいつにも増して、物凄く可愛かった。
 白いレースのワンピース姿は可憐だし、髪型もふわりとウェーブが掛かっている。ほんのりと施されたお化粧も新鮮だった。まるで花嫁さんみたいだ――――初デートでそんなことを思うのは、さすがに浮かれすぎだろうか。けれど、そうなったら良いなと思う自分がいるのは、間違いなかった。


「逢璃、すごく可愛い」


 脈略無く紡がれた俺の言葉に、逢璃は一瞬で真っ赤に染まる。


「あっ……ありがとっ」


 照れくさそうに笑う逢璃がまた格別に可愛い。気づけば俺は、逢璃の額に口づけていた。


「……っ! …………っ!」


 突然のことに、逢璃は言葉なく驚いていた。パクパクと口を開け閉めし、瞳をウルウルと潤ませ、頬を手のひらで覆う。
 可愛い。どうしようもないほど可愛い。


「ねぇ、全部、俺のためだって自惚れて良い?」


 俺は逢璃の両手を掴み、そっと顔を覗き込む。


「――――もちろん。そのために頑張ったんだもん」


 上目遣いに逢璃が俺を見上げる。
 デート場所を間違えたかもしれないと、本気で思った。


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