竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
 そんなある日のこと。知らない携帯番号から俺に電話が掛かって来た。怪訝に思いながら出てみると、相手は同じ高校に通っていた同級生。逢璃と同じ学校に通っている。


「おまえ、このままじゃ彼女盗られるかもよ?」


 彼は俺に向かってそう言った。一瞬で世界が崩れ落ちるような心地がする。
 なんでも、逢璃は同じ学部の年上の先輩に気に入られ、日々アプローチを掛けられているらしい。人目も憚らず好意を言葉にし、逢璃もまんざらでもない様子だと。
 心配した同級生が、気を利かせて連絡してくれたのだ。


(逢璃が俺の側からいなくなる?)


 煮え切らない俺の態度のせいだろうか。それとも、逢璃の気持ちがいつの間にか薄れていたのだろうか。
 俺が気づかなかっただけで。

 居ても立っても居られなかった。

 急いで逢璃の大学に向かい、彼女の姿を探す。講義中かもしれないとか、友人と一緒かもしれないとか、そういうことはどうでも良かった。
 逢璃に会いたい。会って、俺がどんなに彼女を想っているか伝えたかった。


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