竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
38.きずな君の記憶④【また先を越された】
大学生活も三年目に突入した頃、逢璃はアパートを引き払って、俺と同棲を始めた。
「――――実はね、成人して違約金が掛からない時期になったら良いよって、お母さんと約束してたんだ」
俺達二人しかいない部屋で、まるで内緒話をするみたいに逢璃が言う。
手には大きなカバン一つ。洋服や小物類は宅配便で送ったらしい。
(言ってくれれば手伝ったのに)
そんな風に思いつつ、俺は逢璃を抱き締める。
本当は随分前から、逢璃と片時だって離れたくなかった。「おじゃまします」と言われるのも、「また来るね」と言われるのも嫌だった。
ここが――――俺が、逢璃の帰る場所になれば良いのに。そう、ずっと思っていた。
「今日からは寝る時も、起きる時も一緒……だよね?」
そう言って逢璃は嬉しそうに笑う。
「うん」
嬉しくないわけがない。
この時にはもう、死ぬまで逢璃を手離す気なんて無かった。
「――――実はね、成人して違約金が掛からない時期になったら良いよって、お母さんと約束してたんだ」
俺達二人しかいない部屋で、まるで内緒話をするみたいに逢璃が言う。
手には大きなカバン一つ。洋服や小物類は宅配便で送ったらしい。
(言ってくれれば手伝ったのに)
そんな風に思いつつ、俺は逢璃を抱き締める。
本当は随分前から、逢璃と片時だって離れたくなかった。「おじゃまします」と言われるのも、「また来るね」と言われるのも嫌だった。
ここが――――俺が、逢璃の帰る場所になれば良いのに。そう、ずっと思っていた。
「今日からは寝る時も、起きる時も一緒……だよね?」
そう言って逢璃は嬉しそうに笑う。
「うん」
嬉しくないわけがない。
この時にはもう、死ぬまで逢璃を手離す気なんて無かった。