竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
『もしも生まれ変わったら、また一緒になろうね』


 俺の中の逢璃がそう言って、笑った。
 冷たい潮風が頬を優しく撫でる。俺は静かに笑った。

 大きな水音が一つ、夜の闇に響いて消える。一瞬だけ、全身をナイフで刺されたような痛みが走って、それはすぐに俺の身体に溶け込んでいった。
 逢璃が死んでから、呼吸なんてしていないも同然だった。海の闇に溶け込むようにして、ゆっくりと意識が無くなっていく。


(逢璃――――)


 生まれ変わったら、俺はまた逢璃を探す。絶対に見つけ出して、俺達はまた夫婦になる。逢璃が嫌と言ったって、絶対に離してなんかやらない。


(絶対、絶対、来世でも一緒になろう)
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