竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
 結局、明確な結論の出ないまま、わたし達は帰路についた。外はすっかり真っ暗だ。星が瞬く様子をぼんやり眺めつつ、わたしは旦那様のことを考える。


(きずな君、あんなにもわたしのことを愛してくれてたんだ)


 思い返せば涙が出るほど、彼の想いは熱くて強かった。
 愛されていることは日々実感していたけど、あんな形できずな君の想いを目の当たりにする日が来るなんて夢にも思わなかったんだもの。
 本当に、彼はわたしのことを心から愛してくれていたのだと、そう思う。


(それだけなら、ただひたすら嬉しかったのに)


 わたしを愛するあまり、きずな君は自分の命を絶ってしまった。


 わたしが側に居たから。
 わたしが彼の側から居なくなったから。


(もしも今、わたしが旦那様から離れたら――――)


 一瞬だけそんな風に考えてみたけど、そんなこと、できっこなかった。
 だって、旦那様は間違いなくわたしを必要としているし、わたしだって絶対、旦那様と離れたくない。旦那様に自分の人生を見つめなおしてほしいのは事実だけど、それは『わたしと一緒に生きる』という前提があってこそだ。


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