竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
42.残されるもの
「私さぁ、卒業したら結婚するんだ」
それは、卒業を間近に控えたある日のこと。友人の一人が、そんなことを口にした。
「おめでとう!」
すかさず別の友人が声を掛ける。わたしも少し遅れて「おめでとう」と、そう口にした。
「ありがとう」
そう言って笑う友人の笑顔は晴れやかだった。何の憂いもなく、ただ未来への期待と希望に満ちている。
(羨ましいなぁ)
ついついそんなことを考えてしまう自分がいる。わたしは首を横に振って、己の邪念を追い払った。
あの日以降も、表面上はこれまで通り、穏やかな日常を送っている。
ありがたいことに、わたしの就職先も無事に決まり、今は旦那様と一緒に結婚式に向けた色々な準備を進めている。とはいえ、大掛かりなものではなく、極内輪のアットホームな式にしたいとわたしがお願いした。
「アイリスが望むとおりの式にしよう」
旦那様はそう言って、優しく笑ってくれる。
かといって、わたしに任せきりにするんじゃなくて、全部の過程を一緒に考えてくれた。
(きっとこれも、きずな君がわたしと一緒にやりたかったことなんだろうなぁ……)
楽しそうに笑う旦那様を見ていると、ふとそんな考えが頭を過る。記憶はなくとも、彼の魂がそうさせるのだろう。そう思うと、あまりの愛しさに涙が溢れた。
それは、卒業を間近に控えたある日のこと。友人の一人が、そんなことを口にした。
「おめでとう!」
すかさず別の友人が声を掛ける。わたしも少し遅れて「おめでとう」と、そう口にした。
「ありがとう」
そう言って笑う友人の笑顔は晴れやかだった。何の憂いもなく、ただ未来への期待と希望に満ちている。
(羨ましいなぁ)
ついついそんなことを考えてしまう自分がいる。わたしは首を横に振って、己の邪念を追い払った。
あの日以降も、表面上はこれまで通り、穏やかな日常を送っている。
ありがたいことに、わたしの就職先も無事に決まり、今は旦那様と一緒に結婚式に向けた色々な準備を進めている。とはいえ、大掛かりなものではなく、極内輪のアットホームな式にしたいとわたしがお願いした。
「アイリスが望むとおりの式にしよう」
旦那様はそう言って、優しく笑ってくれる。
かといって、わたしに任せきりにするんじゃなくて、全部の過程を一緒に考えてくれた。
(きっとこれも、きずな君がわたしと一緒にやりたかったことなんだろうなぁ……)
楽しそうに笑う旦那様を見ていると、ふとそんな考えが頭を過る。記憶はなくとも、彼の魂がそうさせるのだろう。そう思うと、あまりの愛しさに涙が溢れた。