竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
彼に連れられてやって来たのは、麟族の神殿に程近い山の中にある、大きなお屋敷だった。古く、けれど丁寧に手入れをされた屋敷の戸をニコラスが叩く。
中から現れたのは、一人の老婆だった。
黄味がかった白髪に、頭に生えた角。ニコラスと同じ麟族らしい。
「まぁ……この子があなたの言っていたアイリスちゃんなの?」
「はい、ミセス・カルバート。すっごく可愛いでしょう? 僕の自慢の彼女なんですよ」
「なっ……ナチュラルに嘘を吐かないで! 『僕の親友の彼女』でしょう?」
初対面の人の前だというのに、わたしはついついツッコミを入れる。
幸いなことに、ミセス・カルバートはクスクス笑いながらそんなわたしを受け入れてくれた。
ニコラスと二人、屋敷の中に招き入れられ、ふかふかのソファへと案内される。
(おばあちゃんの家の香りだ……)
優しくて温かくて、居心地が良い。そんな香りに包まれながら、わたしは大きく深呼吸をした。初めて来る場所なのに、すごく落ち着く。ミセス・カルバートは穏やかに微笑みながら、わたしたちに紅茶を準備してくれた。
(それにしても)
どうしてニコラスは、わたしをここに連れてきたのだろう?
彼が突拍子もないことをする人だっていうのは、この五年間でよく分かっている。だけど、こんな形で人を紹介されるのは初めてだ。そう思っていたら、理由はすぐに明らかになった。
中から現れたのは、一人の老婆だった。
黄味がかった白髪に、頭に生えた角。ニコラスと同じ麟族らしい。
「まぁ……この子があなたの言っていたアイリスちゃんなの?」
「はい、ミセス・カルバート。すっごく可愛いでしょう? 僕の自慢の彼女なんですよ」
「なっ……ナチュラルに嘘を吐かないで! 『僕の親友の彼女』でしょう?」
初対面の人の前だというのに、わたしはついついツッコミを入れる。
幸いなことに、ミセス・カルバートはクスクス笑いながらそんなわたしを受け入れてくれた。
ニコラスと二人、屋敷の中に招き入れられ、ふかふかのソファへと案内される。
(おばあちゃんの家の香りだ……)
優しくて温かくて、居心地が良い。そんな香りに包まれながら、わたしは大きく深呼吸をした。初めて来る場所なのに、すごく落ち着く。ミセス・カルバートは穏やかに微笑みながら、わたしたちに紅茶を準備してくれた。
(それにしても)
どうしてニコラスは、わたしをここに連れてきたのだろう?
彼が突拍子もないことをする人だっていうのは、この五年間でよく分かっている。だけど、こんな形で人を紹介されるのは初めてだ。そう思っていたら、理由はすぐに明らかになった。