竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~

6.夜が来た

 夜が来た。
 夜だよ、夜。


(夜~~~~~~~~!)


 屋敷の隅っこに蹲り、一人声にならない叫びを上げる。

 昨夜のわたしは気を失ったまま、いつの間にか旦那様に抱かれて眠っていた。だから、一緒に寝台に入る時のドキドキとか、恥じらいとか躊躇いとか、そういうのを経なかったわけだけど、今夜は違う。バッチリ目は覚めていて、意識なんかもハッキリしている。


(どうしよう……どうしたら良いんだろう…………)


 日中散策したところ、この屋敷には旦那様の寝室とは別に部屋がいくつかあるんだけど、そこには寝台も机も、何も入っていなかった。もしかしたら旦那様はこれから、あの部屋のどれかを改修するつもりなのかもしれないけど、取り敢えず今夜のわたしの身の置き所が気になってしまう。


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