竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
「身体は大丈夫?」

「うん。寧ろ元気すぎるぐらい」


 わたしはそう言って身体を起こし、旦那様にギュッと抱き付く。旦那様は抱いていた赤子をベッドに横たえ、わたしのことをきつく抱き締めた。


「あのね、旦那様……わたし、毎日『今日が一番幸せだ』って、そう思うの」


 朝、隣に眠っている旦那様を見る度に。
 一緒にご飯を食べて笑う度に。
 手を繋ぐ度に。口づける度に。
 毎朝、毎晩、幸せだなぁとそう思う。


「でもね……間違いなく、今日が一番幸せだと思う」


 旦那様は小さく頷きながら、わたしの瞼に口づけた。
 心と身体が言葉にできない温かさに満ちている。きっと、旦那様も同じ気持ちじゃないかな。そう思うと、涙が出るほど嬉しい。


「旦那様――――わたしをあなたの妻にしてくれてありがとう。本当に、本当に、ありがとう」


 ありったけの想いを込めて、そう伝える。旦那様は「俺の方こそ」って口にしながら、言葉を詰まらせた。
 感極まると言葉がうまく出てこない癖は、今もあんまり直っていない。だけど、そんな旦那様だからこそ愛おしいと思う。


「愛してるよ、アイリス――――」

(うん、知ってる)


 前世でも、現世でも。旦那様がどれほどわたしのことを愛してくれているのか、ちゃんと知っている。
 何度生まれ変わっても、わたしは旦那様の妻になりたい。
 心の底からそう思う。


「わたしも、旦那様を愛しています」


 言えば、旦那様は泣き出しそうな表情で笑う。


「「来世でも、絶対に一緒になろうね」」


 どちらともなくそう口にして、わたし達は口づけを交わすのだった。
< 245 / 245 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:21

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

表紙を見る
表紙を見る
表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop