竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~

8.真っ白なドレスと、前世の願い事

「アイリスは未だ準備中か?」

「はい。女性の準備には時間が掛かるものですよ、リアン様」


 扉の向こうで、旦那様とロイの声が聞こえる。


(ごめんね、旦那様。いつも待たせてしまって)


 前世でも、デートのたびにわたしはそうやって謝って、でもその度に旦那様は良いよって笑って許してくれた。


(楽しかったなぁ……待ち合わせのドキドキ感を味わうの)


 出会ってすぐに一緒に住んでいるのだし、現世で味わうことはないかもしれないなぁ、なんて思いながら、わたしは笑った。


「スミマセン、お待たせしました」


 わたしはそう口にしつつ、ドキドキしながらドアを開けた。


「アイリス、準備は……」


 旦那様はそう言って目を丸くする。
 ドアの前にはいつも通り、最高に素敵な旦那様と、外出用の小さなシルクハットを被ったロイがいた。二人とも準備万端って感じで、何だか申し訳なくなる。


「旦那様っ」


 わたしは下から旦那様の顔を覗き込む。そしたら、旦那様はわたしからそっと目を逸らした。


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