竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
「アイリス様?」


 ロイの無垢な瞳は、なおもわたしを真っすぐに見つめ続ける。
 どうしようか散々迷った末、わたしは大きくため息を吐いた。


「好き。大好き。旦那様が好きなの」


 恥ずかしい。こういうことを臆面もなく言えるのがちびっ子の特権なのに、わたしは恥ずかしくて堪らなかった。

 だって、本当のことだもの。本気の恋だもの。
 だから、たとえ本人に想いを伝えるわけじゃなくても、心臓がドキドキして堪らない。


「だけど今日ね、学校に行ったらわたしがあんまりにも子どもだって思い知って、自分に呆れちゃった」


 内緒にしてね、と付け加えてからロイを撫でる。
 ロイはまたもや首を傾げながら、わたしのことをそっと舐めた。


「リアン様はそんなこと、気になさらないと思いますけど」


 ロイの言葉は真っ直ぐで裏がない。きっと本気でそう思っているんだろう。


(わたしだってそう思う)


 子どもだとか、子どもじゃないとか、旦那様はあんまり気にしていない。だって、旦那様はありのままのわたしを受け入れて、側に置いてくれてるんだもの。

 だからこれは、わたしの問題。自分で解決しないといけないわたしの心の問題だ。


(何とかしなきゃ)


 そんなことを考えながら、わたしは唇を尖らせた。


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