竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~

13.来訪者と竜の怒り

 その日、学校から帰って来たわたしは、玄関を開けてすぐに感じた違和感に顔を顰めた。


(なんだろう? ……知らない香りがする)


 ジャスミンみたいな爽やかかつ華やかな香りと、中東を感じさせるスパイシーで甘い香りが混ざって香る。どちらも甘やかな香りだけれど、女性的というより男性的な香りだ。

 旦那様と言えば『ミントの香り』のお方なので、これは断じて旦那様の香りじゃない。ロイはお日様みたいな匂いだし、絶対に別の誰かの香りだ。


「ただいま! ロイ?」


 一抹の不安を感じつつ、玄関口で声を張る。
 わたしがこの家で過ごすようになってこの方、お客さんなんて来たことが無い。旦那様は前世でも人付き合いは良い方じゃなかったし、自分のテリトリーを荒らされることを好まない人だった。現世でもきっと、その傾向は変わっていない。


(どうしよう……怖くなってきちゃった)


 シンと静まり返った家の中、わたしは思わず後ずさる。
 だけどその瞬間、誰かが後ろからギュッとわたしを抱き締めた。


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