竜人様に拾われました～転生養女は現世でも妻として愛されたい～

「あぁっ、アイリス様！　お帰りなさいませ」


　ロイはいつも通り、満面の笑みを浮かべてわたしを出迎えてくれる。外出していたらしく、買い物かごを口に咥えてブンブン尻尾を振っていた。
　どうやら、わたしのこの異常事態はちっとも目に入っていないらしい。


「ロイ！　後！　わたしの後！」

「へ？」


　窮状を伝えようと必死に藻掻いてるのに、残念ながらロイには伝わらない。心臓がバクバク鳴り響き、怖くて怖くて、今にも膝から崩れ落ちそうになったその時、ボスッて大きな音が頭上で鳴り響いた。


「……痛いなぁ。何するの？」

「それ以上ちびっ子を苛めるなよ、バカ」


　男性二人分の声音が聞こえて振り返る。
　そこには旦那様と同じ年ごろの男性が二人立っていた。