竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
(いけない。今のわたしは幼女。幼女だからっ)


 どんなにドキドキしていても。
 まるで恋人みたいだって浮かれたくとも!
 己の立場はしっかりと肝に銘じなければならない。

 だって、旦那様のお友達に『勘違いしたちびっ子』って認識されたくないもの。必死でキリリとした表情を装う。


「へぇーーーー、アイリスちゃんねぇ」


 ニコラスはそう言って人懐っこい笑みを浮かべる。
 だけどその瞬間、旦那様はわたしを胸に抱き込んで、ニコラスから見えないように覆い隠した。
 少し汗の混じったミントの香り。わたしは思わず目を伏せる。


(一体なんのご褒美なんだろう)


 どうしよう。胸が熱い。
 旦那様の行動は、わたしに対する独占欲の表れだと思う。たとえ恋愛感情とは違うって分かっていても、愛されていると思うし、すごくすごく幸せだ。


「リアンはケチだなぁ。良いじゃん、顔を見るぐらい。減るもんじゃないし」

「ダメだ」


 なおも食い下がるニコラスに、旦那様は首を横に振る。


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