竜人様に拾われました~転生養女は現世でも妻として愛されたい~
(いや)
旦那様から離れるなんて嫌。絶対に嫌だ。
けれど、何も知らないこの人たちに一体どうやって説明したら良いんだろう。
『わたしは旦那様の前世の妻で、だから現世でも一緒に居たいんです』なんて説明して、果たして信じてもらえるんだろうか?
そもそもわたし達の前世については、旦那様だって知らない。今後も打ち明けるつもりはない。
だって、旦那様にはそういうの関係なしに、今のわたしを――――『アイリス』を好きになって欲しいんだもの。そのために頑張るって決めてるんだから。
「放っておけ。――――おまえ達には関係ない」
頭上から旦那様の声が響く。わたしを抱きかかえた腕に、ギュッて力がこもる。
嬉しいような、悲しいような……複雑な気分。気を抜くと、今にも涙が零れ落ちそうだった。
「友達甲斐のない奴」
不服気に唇を尖らせつつ、ニコラスが言う。だけど彼は、それ以上追及する気はないらしい。小さくため息を吐きながら、まじまじとこちらを見つめている。
(旦那様は本当に、どういうつもりでわたしを引き取ったんだろう?)
聞くのを躊躇ったのはわたしなのに釈然としない。
いつか、ここを出なきゃいけなくなるんじゃないか――――喉に絡みつくような不安感に胸が塞がる。
モヤモヤした胸の辺りを撫でながら、わたしは旦那様を抱き締めた。
たくさん、たくさん、抱き締めた。
旦那様から離れるなんて嫌。絶対に嫌だ。
けれど、何も知らないこの人たちに一体どうやって説明したら良いんだろう。
『わたしは旦那様の前世の妻で、だから現世でも一緒に居たいんです』なんて説明して、果たして信じてもらえるんだろうか?
そもそもわたし達の前世については、旦那様だって知らない。今後も打ち明けるつもりはない。
だって、旦那様にはそういうの関係なしに、今のわたしを――――『アイリス』を好きになって欲しいんだもの。そのために頑張るって決めてるんだから。
「放っておけ。――――おまえ達には関係ない」
頭上から旦那様の声が響く。わたしを抱きかかえた腕に、ギュッて力がこもる。
嬉しいような、悲しいような……複雑な気分。気を抜くと、今にも涙が零れ落ちそうだった。
「友達甲斐のない奴」
不服気に唇を尖らせつつ、ニコラスが言う。だけど彼は、それ以上追及する気はないらしい。小さくため息を吐きながら、まじまじとこちらを見つめている。
(旦那様は本当に、どういうつもりでわたしを引き取ったんだろう?)
聞くのを躊躇ったのはわたしなのに釈然としない。
いつか、ここを出なきゃいけなくなるんじゃないか――――喉に絡みつくような不安感に胸が塞がる。
モヤモヤした胸の辺りを撫でながら、わたしは旦那様を抱き締めた。
たくさん、たくさん、抱き締めた。