月下の君には秘密です。


今年のクリスマス会。
場所はウチ。

こないだのバーベキューは井上んちだったから。
多分、正月は月ちゃんちになるんだろう。


居間の片隅にあるツリーは、母さんに言われて直前に俺が渋々飾り付けたもの。
飾りつけのバランスが悪いとか言って、いつもの二人に笑われた。

…結構、頑張ったのにッ。


「あぁ~…腹いっぱい。もう食えないッ!」

俺はゴロンと寝慣れたソファーに仰向けになる。


「…え~?じゃあ晃ちゃんのケーキ、あたしが貰う~!」

「――ダメッ!ケーキは別腹!」

「…ケチ。」

ダイニングテーブルの井上が、自分のフォークをくわえて口を尖らせていた。


小林が言っていた『幼馴染み離れ』を、結構考えた。

今年は小林や紗季と遊んでようかな、とか。
俺ももう17歳。
この年齢だと友達と過ごすのが普通なんじゃないか、とか…。

でも結局…
俺は今年もここに居る。


「…そろそろ家を出ないと、花火に間に合わないんじゃないか…?」

そう月ちゃんが腕時計を確認しながら言ったから、よいせっとソファーから身を起こした。


「もう、そんな時間!?」

井上が慌てて残りのケーキを口に入れる。


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