月下の君には秘密です。


その様子が可愛らしくて、俺の顔にも笑みが出る。

クリーム、くっついてる…

俺がプッと笑いながら指摘してやろうと思ったのに、俺の出る幕じゃなかった。


「…あぁ、ほら。顔にクリームくっつけて…。そんなに焦る事ないだろう?」

月ちゃんがそう穏やかに笑いながら、愛しそうに井上のクリームを拭う。

…は?

井上は照れながら、
『だって~』とか言ってる。


元々4人掛けの少し大きめな四角いテーブル。
勿論全員が座れるはずもなく、基本『立食パーティー』。

…とはいえ、
この狭さに、この人口。

普段より…
二人の距離が近いと思う…。

……何、これ。
すごい嫌な感じ…ッ。


「…あらあらあら~」
「仲良し~!」

そんな母さんズのヤジが入って、俺はムッと立ち上がった。


「――…行こうぜッ、花火!はい、皆さん準備してッ!」

俺は自分のコートを取りに廊下へ出ようと歩き出した。
井上も月ちゃんも俺の行動につられてテーブルから離れた。


大人6人、俺たち3人。

この団体行動で学んだ事は、
大人たちの動きが鈍いって事…。

年を取ると皆こうなのかねッ。
全く動こうとしてないッ!


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