月下の君には秘密です。


外へ出ると…、


俺の好きなオリオン座と、
その少し横で輝く、お月様。



昔々…
やっぱり花火を見に行く今日みたいな日。

小さな俺たちは、
親たちに連れられて。

やっぱり、
この夜空を見上げていた。



『…お月さまは、ずっとオレたちをみてるね?』

『そうよ?見守ってるの。晃が悪い事しないように!』


意地悪な母さんは、
幼い俺にそう言った。


『オレ、「わるいこと」したら、きらわれちゃうッ!?』


そう聞く俺に、
親に手を引かれた井上が言ったんだ。


『――あきらちゃん、いっぱい「わるいこと」してるもん!お月さま、もう「きらい」だよ!』


お月様に嫌われたくない俺は、
目を潤ませて地面を見ていた。


『…だいじょうぶだよ。お月さまは、やさしいから。わらってるよ?きっと…』


泣きそうな俺に、
優しい月ちゃんはそう言ってくれたんだった。


『優しいわね~?きーちゃんは。』

『きーちゃん…あんまりウチのバカを甘やかさないでね?』


母さんズが笑ってそう言っているのを、俺たちはきょとんと聞いていた。


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