月下の君には秘密です。


仲良く手を繋ぐ男女3人組。
俺たちは周りから見て、やっぱり目についていたのかな?

一番発見されたくなかったウルサイ奴らに、俺たちは発見されてしまった。


「アッキー!?」

そんな声が後ろから聞こえて、
俺の顔が『ゲッ…』と歪んだ。

この声は…

恐る恐る顔だけ振り返ると、少し離れた夜店の前から手を振っている小林。

…やっぱり…


「あ~、小林くん。」

井上もそう奴を指差すと、振らなくていい手を振ったもんだから…あいつが調子に乗る。


「…やっぱ3人で来たんだ~!?何ーッ。仲良くお手てなんて繋いじゃってー…」

「…ちょっと、やめなって…!」

俺たちに近付こうとする小林を、隣から紗季が止めていた。
小林の服を掴んで、足止めをしている。

あれ?意外…。

紗季の性格上、小林と一緒になって騒ぐんだと思っていたのに…。


「…何するの、紗季ちゃん…」

「アンタは行かなくていいの!ほら、行くよ!ごめんね、アッキー…」

紗季はそう俺に手を振って、嫌がる小林の腕を取って強引に歩かせていた。


「…何だろう?」
「……さぁッ。」

俺は首を傾げてそう井上に返した。


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