月下の君には秘密です。
「…ったく、遅くなるなら連絡くらいしろよ、晃…。」
月ちゃんも、
呆れながらちょっと怒ってる。
「……ごめッ…」
「もぅ!心配したんだから!」
そう頬を膨らませた井上の表情が、俺を見て変わる。
「――晃ちゃん…泣いた!?」
井上が外灯に照らされた俺の顔を、下から覗き込んでそう聞いた。
「……へッ!?」
俺は焦った。
泣いてからもう結構時間が経ってるし、なんでッ!?
「…本当だ。目が腫れてるな?少し、鼻声だし…」
月ちゃんも、心配そうに俺を覗き込む。
「…いやッ?ほら、鼻声は風邪ッ!?寒かったし!」
俺はそう言って、顔の下で手をヒラヒラさせて否定したんだけど。
「……誰に泣かされたの?」
俺の弁解も虚しく、
俺が泣いた事は決定らしい。
……困った…。
「…ぁ、紗季ちゃんに『シメられた』とか…」
「あぁ…さっき、遥が言ってた例の子か…?」
月ちゃんがそう聞いて、井上が首を縦に振った。
……っていうか。
さっきって…。
せっかく二人きりにしてあげたのに、何で俺の話してんのよッ!?
「…いやッ。紗季には、むしろ助けられたっていうか…、ねッ?」
「じゃあ、誰!?」