月下の君には秘密です。


あの知りたがりでお喋りな小林が、引き下がるはずもなく。


「…何!?超知りたい。」

「何だっていいだろッ!?お前早く帰れよ!」

キラキラと目を光らす小林を、シッシッと俺は追いたてた。


「ヒドイよ?アッキー。分かった、雨が嫌いなんだ?」

「はぁ?雨なんて誰だって嫌いだろうがッ!」

「…そう言われちゃうと、そうだけど。じゃあ、何~!?」

「ぅるさい!」


―――――――――――――


――…俺は

『水』が、怖いです。


小さい頃から、嫌いです。

でも、
顔が水に浸からなければ問題ありません。

息が出来るから。


水泳の授業の前の日なんかは、
緊張して眠れない程に。

今日、世界が滅べばいいのにと思う程に…。

嫌いです。


それを、
『周りにバレたらカッコ悪い』
と理由で、気合いだけでカバーして暮らしてます。


一番好きな奴に

『弱味』を握られている俺は

なんて可哀想なんでしょう…


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