月下の君には秘密です。
「……何これっ!今、俺が書いたの!?あり得ねぇ~ッ!ウザッ!俺ウザ~イ…」
たった今、書き終えたばかりの大学ノートの1ページ目。
それを自分で読み返して頭を抱えた。
「…女々しい…。まさか俺、噂の乙女系!?しかも、なんで語尾が敬語なの…?」
はぁ~…
あまりの陳腐さに自分の小ささを見た気がして、情けなくてノートから目を逸らした。
正直、こんなのは俺のキャラじゃない。
俺が日記なんて…。
今まで付けた事があるのは、小学校の夏休みの宿題くらいだろう。
国語は苦手だし、読書感想文すらまともに書けない俺が、だ。
何をつらつらとノート1ページに書きなぐっているかと思えば、『恋愛の悩み』。
そして、
読み返して『独り言』。
「……へこむわ~…」
やぶって捨ててしまおうか…
そう手を伸ばして、
でも…
なんかもったいなくて、
止めた。