月下の君には秘密です。
母さんはニヤリと笑った。
なんか裏がある…
「…あら、晃。あんた、ミルク派よねぇ?」
「…そうだけどッ?俺も月ちゃんも、ミルク派だろ?昔からッ。」
「――はぃ、決定~!」
母さんは俺の手を取って、
俺に『500円玉』を一つ握らせた…。
「……は?」
「紅茶はミルクよね!母さんもミルク派!で、牛乳がない。二人で買ってらしゃい?」
「…はぁッ!?」
家の中からは、クスクスと笑う母さん達の声。
図ったな…。
女の集団は怖いと思う。
「…ははは…!行こう、晃。」
月ちゃんは楽しそうに笑って、あんぐりと口を開ける俺の肩を叩いた。
「え~…!?じゃあ、あたしも一緒に行く~…」
そう慌てて窓に駆け寄る井上に、月ちゃんが声を掛けた。
「…いいよ。寒い中お使いに行くのは、男の仕事…という事でしょう?」
「さっすが月ちゃんは物分かりが早いわね~?うちの息子と違って。おばさん好きよ~。」
母さんが嬉しそうに笑う横で、
「…でも~あたしも…」
と、井上は未だ外に出ようとしていた。
「…あらあら、いつまで経っても三人仲良しね~?」
…違う。
きっと、井上は…