月下の君には秘密です。


母さんはニヤリと笑った。
なんか裏がある…


「…あら、晃。あんた、ミルク派よねぇ?」

「…そうだけどッ?俺も月ちゃんも、ミルク派だろ?昔からッ。」


「――はぃ、決定~!」

母さんは俺の手を取って、
俺に『500円玉』を一つ握らせた…。


「……は?」

「紅茶はミルクよね!母さんもミルク派!で、牛乳がない。二人で買ってらしゃい?」

「…はぁッ!?」

家の中からは、クスクスと笑う母さん達の声。
図ったな…。
女の集団は怖いと思う。


「…ははは…!行こう、晃。」

月ちゃんは楽しそうに笑って、あんぐりと口を開ける俺の肩を叩いた。


「え~…!?じゃあ、あたしも一緒に行く~…」

そう慌てて窓に駆け寄る井上に、月ちゃんが声を掛けた。


「…いいよ。寒い中お使いに行くのは、男の仕事…という事でしょう?」

「さっすが月ちゃんは物分かりが早いわね~?うちの息子と違って。おばさん好きよ~。」

母さんが嬉しそうに笑う横で、

「…でも~あたしも…」

と、井上は未だ外に出ようとしていた。


「…あらあら、いつまで経っても三人仲良しね~?」

…違う。
きっと、井上は…


< 57 / 160 >

この作品をシェア

pagetop