月下の君には秘密です。
家から一番近いコンビニまでは、歩いて10分の距離。
俺の手には、たかが牛乳一本が入ったビニール袋。
それをぶら下げて、月ちゃんと並んで歩いていた。
「…晃~?まだ拗ねてるのか…?いいだろう、お使いくらい…」
月ちゃんは、
…何も知らない。
「…拗ねてねぇし。俺はそんなちっちゃい男じゃないしッ。」
俺たちが会う時は、
必ずと言って良い程、井上も一緒で…
今は月ちゃんと二人きり。
こんなチャンスは、
滅多にないかもしれない。
聞くなら…、
今しかないかもしれない。
俺の単純な脳ミソは、
そんな事を考えていたせいか、喋る事を忘れていた。
「…ぁ…あのさぁ。」
「ん?」
俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
言えッ。
聞いちゃえッ、俺。
「…月ちゃんは…井上が、好き…?」
――…聞いちゃった…俺。
頑張った、俺ッ!
「好きだよ?」
え……
俺は即答する月ちゃんの顔を、思わずバッと見て…固まった。
俺のか弱い心臓の、
ドクン、ドクンと大きな音を感じた。
「…何、それで拗ねてたのか?同じ位、晃の事も好きだよ?別にヒイキしてるわけじゃなく、単純にあいつは風邪ひきやすいから…」
……はぃ?