月下の君には秘密です。


月ちゃんは少し困った様に、
普段と変わらずに笑っていた。

…多分。
伝わってない…

いい加減『お使い』の事から離れて欲しい。
そんで、俺の縮まった寿命を返して欲しい。


「…違うッ!だから拗ねてねぇッ!井上を、ライクじゃなくて。…ラブかって話!!」

俺が突然大声をあげたから、月ちゃんは一瞬きょとんとして…


「…あぁ、なるほど。晃もそこまで成長したか。テニス部の後輩の子に感謝だな…」

と呟いたから、
俺もきょとんとなった。
ちょっと戦意喪失…。


「…あぁ、もぉ。やっぱ井上の奴、月ちゃんにも喋ってた…」

「…あぁ、今日の朝イチ?」

俺は唇を尖らせて…、
でも、ハッと気付いた。

ここで…
ここまで来て、
負けちゃいけない、俺。


「…その話は後。俺の質問の答えが先ッ!」

俺はギロッと月ちゃんを見上げた。
月ちゃんは少し困った笑顔を浮かべていた。


「…そうだな…。」

月ちゃんは、
やっぱり同い年とは思えない程に落ち着いていて…
ふふっ…と笑いながら片眉を上げて、


「…『Like』じゃなくて、あいつの事は『Love』 だよ。」

と言った。

…ぁ……
やっぱり…か…


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