月下の君には秘密です。


「…ふ…、ふぅん…?」

俺はいつも通り振る舞おうとしたんだけど、思わず顔を反らしてしまった。


…聞かなくても、
分かっていた気がした。

でも、
確認をしたかったんだと思う。


「…やっぱりなッ。そうじゃないかと思ってたんだよなぁ!」

はははッと俺は笑った。

いつも通り、
いつも通り…


「…何、この間まで『恋愛のレの字』も分からなかった奴に気付かれるものか…。」

「いいやッ!気付いてたね。今までは理解しようとしてなかっただけで!俺っち、やれば出来る子だからッ?」

俺、ちゃんと…
いつも通りに笑ってるかな…

俺は、泣きそうなのを必死で堪えてた。



「…晃、お前…言うなよ…?」

月ちゃんが珍しく俺の顔色を伺って、恐る恐るそう訪ねた。


「え~ッ?うははは…、俺…黙ってられるかなぁッ?」

俺の気持ちとは裏腹に…、
俺の持つ牛乳が、チャポチャポと楽しそうな音をたてる。


「…お前っ…、俺を怒らせたいらしいなぁ…?」

月ちゃんはそう言って、
後ろから俺の首に腕を回した。


「…ぐは。嘘だって!言わないってッ!マジで!」

俺はゆるく絞められた首が苦しい事にして、
胸が苦しいのを、誤魔化した。


< 62 / 160 >

この作品をシェア

pagetop