月下の君には秘密です。
「…ふ…、ふぅん…?」
俺はいつも通り振る舞おうとしたんだけど、思わず顔を反らしてしまった。
…聞かなくても、
分かっていた気がした。
でも、
確認をしたかったんだと思う。
「…やっぱりなッ。そうじゃないかと思ってたんだよなぁ!」
はははッと俺は笑った。
いつも通り、
いつも通り…
「…何、この間まで『恋愛のレの字』も分からなかった奴に気付かれるものか…。」
「いいやッ!気付いてたね。今までは理解しようとしてなかっただけで!俺っち、やれば出来る子だからッ?」
俺、ちゃんと…
いつも通りに笑ってるかな…
俺は、泣きそうなのを必死で堪えてた。
「…晃、お前…言うなよ…?」
月ちゃんが珍しく俺の顔色を伺って、恐る恐るそう訪ねた。
「え~ッ?うははは…、俺…黙ってられるかなぁッ?」
俺の気持ちとは裏腹に…、
俺の持つ牛乳が、チャポチャポと楽しそうな音をたてる。
「…お前っ…、俺を怒らせたいらしいなぁ…?」
月ちゃんはそう言って、
後ろから俺の首に腕を回した。
「…ぐは。嘘だって!言わないってッ!マジで!」
俺はゆるく絞められた首が苦しい事にして、
胸が苦しいのを、誤魔化した。