月下の君には秘密です。


月ちゃんが、
別の学校を選んだのは…。

俺たち、
おバカとは違って頭が良いから。
勿論、それもある。

でも、本当は違う…。



井上は、中学3年の時に一部の女子から『仲間外れ』にされていた。

これが、
月ちゃんが原因だったんだ。


月ちゃんはカッコ良くて。
勉強もスポーツもよく出来て。
何でも目立ってて…

俺たちの自慢だった。

月ちゃんが誉められる事が、自分たちの事の様に嬉しかった。


月ちゃんは男子からも好かれていたけど、女子からはスゴイ人気を集めていた。

よくある話。
女の『ひがみ』『妬み』。

俺たちがいつも一緒で、
特別だったから…。


それが向けられる対象が、
『井上』になってしまった。



最初は『無視』だった。
井上は気にしていない振りをしてた。


次は『手紙』と『落書き』だった。

下駄箱に入っていた汚い言葉。
俺と月ちゃんが怒りながら、
破って破って、捨てた。

井上は…、
無理して作り笑いしていた。
俺はただ怒っていただけ。
月ちゃんは悲しそうだった。


自分のせいで井上が傷付く事に、月ちゃんもひどく傷付いていたんだと思う。

それでも、
俺たちは一緒にいた。

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