月下の君には秘密です。
「……ふぁあぁ~ぁ…」
デッカイ欠伸をしていたら、隣から俺を怒る井上の声。
「…もぅ。晃ちゃんたら、これからテストだっていうのに!緊張感ないなぁ~…」
「…だって眠いもんは眠いし…」
今日からテスト期間。
3日間は教室でも井上の隣。
朝のHRを終えて、
1限目のテストが始まる前。
最後の復習だとか言って教科書を開いていた井上を、俺の欠伸が邪魔してしまった。
月ちゃんと井上が、
二人がくっついてしまったら。
俺と井上の距離は、その内少しずつ離れていくんだろう。
だから…
少しでも多く井上と接していたいのに、俺たちの間には『お邪魔虫』がいた。
「…アッキー、まさかとは思うが…裏切った?」
…小林だ。
マジでお前、邪魔…
「……はぁ?」
「欠伸だよ…。テスト勉強なんてしないって言ってたじゃ~ん?昨日遅くまで勉強しちゃったとか…」
…あぁ、あれか。
『アッキー勉強しないなら俺もしなーい。一緒に赤点取ろーぜー?』
昨日そんな事を言っていた小林が、俺の机の前で少し焦っていた。
「ふッ…。さぁね、どうでしょうねぇッ?」
頬杖をついてニヤリと笑う俺の横で、
井上は呆れ顔。