月下の君には秘密です。


「……ふぁあぁ~ぁ…」

デッカイ欠伸をしていたら、隣から俺を怒る井上の声。


「…もぅ。晃ちゃんたら、これからテストだっていうのに!緊張感ないなぁ~…」

「…だって眠いもんは眠いし…」


今日からテスト期間。
3日間は教室でも井上の隣。

朝のHRを終えて、
1限目のテストが始まる前。

最後の復習だとか言って教科書を開いていた井上を、俺の欠伸が邪魔してしまった。


月ちゃんと井上が、
二人がくっついてしまったら。
俺と井上の距離は、その内少しずつ離れていくんだろう。

だから…
少しでも多く井上と接していたいのに、俺たちの間には『お邪魔虫』がいた。


「…アッキー、まさかとは思うが…裏切った?」

…小林だ。
マジでお前、邪魔…


「……はぁ?」

「欠伸だよ…。テスト勉強なんてしないって言ってたじゃ~ん?昨日遅くまで勉強しちゃったとか…」

…あぁ、あれか。

『アッキー勉強しないなら俺もしなーい。一緒に赤点取ろーぜー?』

昨日そんな事を言っていた小林が、俺の机の前で少し焦っていた。


「ふッ…。さぁね、どうでしょうねぇッ?」

頬杖をついてニヤリと笑う俺の横で、
井上は呆れ顔。


< 71 / 160 >

この作品をシェア

pagetop