月下の君には秘密です。
「…この晃ちゃんが勉強…。してたら、今日は台風で学校が休校です。」
…おぃ、そんなにか!?
「――…だよな!良かった~。それでこそアッキー!」
はははッ…と笑う小林をギロリと俺は睨む。
こいつは最近俺を『アッキー』と呼ぶ事が多い。
周りの連中にまで、それが定着し始めて…
俺はもう諦め始めていた。
いちいち小林に突っ掛かるのも面倒だし…、
ほら。
俺ってば最近色々あって、
ちょっと大人になっちゃったからー…?
どうとでも呼べば良いさッ。
―――ガラッ…
始業のチャイムと同時に鉄の重い扉が開いて…、
小難しいプリントの束を持った先生が教室に入って来る。
「――はい、始めるぞ。席つけ~?教科書しまえ~?」
俺たちの席は1番前。
先生にシッシッと追い払われた小林は慌てて自分の席に戻って行った。
ざわつく教室内…。
先生は列の1番前の俺たちにテストを配りながら…、
俺の前で止まる。
「……何、センセ。」
「今野ー。お前ちゃんと勉強してきただろうな~?頼むよー…?」
1限目の監督。
この人は体育の先生で、陸上部の顧問だったりする。
ちょっと…性格が小林に似ていて困る。