月下の君には秘密です。


「…はは…、悪い悪い。」

先生は他の列に用紙を配る為に俺たちから距離を取りながら、楽しそうに笑った。


「…お前達、性格は全く違うのに…。まるで双子みたいだなぁ?」


目を細めて…、俺たちをからかう様にそう言った。

俺たちの反撃を期待していたのかもしれないが…、
期待に答えられなくて申し訳ない。


「「……よく言われる…」」

そのセリフは、
俺たちの家族や月ちゃんに言われ慣れていた。


キーンコーン…

「――…って、あぁ!時間じゃん!はい、プリント回った!?始めて良し!」

あぁあ…、
俺たちに構うから。


「開始時間が遅れた奴は~、恨むなら俺じゃなく今野を恨め~?」

「――…俺ぇッ!?」

クスクスと、
笑いが交じる教室内。

井上は、自分が目立った行動を取ってしまった事に今さら気が付いて、オロオロと辺りを気にしていた。


大丈夫…。
ここには井上を守ろうとする月ちゃんはいないけれど。

きっと、
俺が守るから…。


俺は上機嫌でシャーペンを手に取って、テストの問題に向き合った。

今なら、
満点…は取れなくても、50点位は取れちゃうかもねッ。


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