月下の君には秘密です。
突然に現れた、
ウルサイ二つの嵐。
嵐が去った後は…
いつも通りの穏やかさ。
「…何だろう…ねぇ?」
「…何だったんだろうなぁ?」
俺たちは顔を見合わせて、
首を傾げ合った。
どちらともなく、
足は自然といつもの道を歩き出しながら、俺たちは首を捻ったままだった。
「…あの子、テニス部って言ってたよねぇ?…確か、この間晃ちゃんに告白してきた子って…」
「……テニス部…」
俺たちの考える事は、
大体は一緒で…。
小林のはしゃぎ様は、この際二人とも無視だった。
「…偵察って、そうゆう事だよね?きっと。」
「――だけど、断ったぜぇ!?…何!?まさか、仕返し…?」
3組って事は俺らと同級生。
告白してくれた子は、一個下。
『可愛い後輩を振りやがって』
…とかか?
「いやぁ~、『仕返し』ってかんじじゃなかったよ?あの子。」
「いやッ、有り得る!絶対あのギャルにシメられる!俺ッ。」
俺の『コワッ!』という声が住宅地に響いたのか、少し遠くから急に犬に吠えられた。
で、ビクッとする俺。
「…あはは。ないでしょ?」
俺はポケットに手を突っ込んだまま、ムッと井上を見る。