月下の君には秘密です。
先生が指差す校庭脇には、練習用のユニフォーム姿の小林。
それと、
短い制服スカートの上にテニス部のジャンパーを着た紗季。
「アッキー!」
「補習のお時間だよ~!?」
…『補習仲間』が、
笑顔でヒラヒラと俺に手を振っていた。
「…う~。…やっぱ、行かなきゃダメッ!?センセ。」
俺は可愛らしく先生に首を傾げて瞼をパチパチして見せた。
普段ならこんな事絶対しない。
でも何とか補習に行かなくて済む方法はないか、何でも試してみる…。
「ダメっ。楽しい楽しいお勉強へ、行ってらっしゃい!?」
そう校舎を指差して、先生はハハハッと笑った。
だけど目が笑ってなくって、
今日は諦めて大人しく補習へ行こう…と溜め息をついた。
「……ちぇッ…」
「また明日な~、今野ー。」
「……へーい。」
俺は先生に背を向け歩き出すと、唇を尖らせながら、部の3年達を目で探す。
本当はどうでも良いんだけど、
一応、挨拶して帰らないとッ?
俺様、良い子だし。
「――…部ッ長~ッ!どこーーッ!?」
もう探すの面倒だし、
時間ないし、叫んでみた。
大声出したら、ちょっとだけスッキリした。