月下の君には秘密です。


でも返事はなくって、
他の先輩が笑いながら答えた。
俺と同じ短距離の先輩達だ。


「部長達はロードワークへ行ったぜ?どうした?」

「…何、晃。上がるの?用事?」

先輩達は、地べたに座ったまま俺を見上げる。
俺はコクリとふて腐れて頷く。


「……補習…なんす。」

「――ダサッ!」
「わははは、補習~!」

やっぱり笑われた…。
ヒドイや。


もう冬休み前で授業は午前中の2時限だけ。
それで部活に精進してたんだけど、赤点を3つ取った俺には午後から特別授業がある。


「むぅ…。弁当食ってから、勉強…。先輩、代わってよ!」

「わはは、無理!伝えといてやるから行ってこいーっ!」

そう楽しそうに手を振る先輩達を後にして、俺は『補習仲間』の元へと向かった。



「遅い、アッキー!」

「早く教室行って弁当食おうぜ~?」

そう俺を迎えたのは、ニカッと笑う紗季と小林。

俺が補習から逃げないように、こうやって迎えに来る。
すでに小林の手には、俺の荷物まで用意されている。


「…はいはぃ、行きますよ…」


こんな日々も、もう3日目。
早く補習からも、コイツらからも解放されたい…。


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