キンキョリレンアイ
「おっせーぞ。」

不機嫌そうに目を細め隼人はうちの門の前から顔をひょっこり出した。

胸を叩きながら口に含んでいた食べ物をごくんっと喉を鳴らしながら飲み込んでふてくれたようにごめん、と言いながら隼人の横を通過した。

隼人はブツブツ文句を言いながら小走りでそんな私を追いかける。

「瑞姫は『遅くなってごめんね』とか可愛く言えないのかよ。」

その言い方が妙にリアルで腹立たしかった。

…陽菜ならそう言うんだね。

「そんな言い方したらどうせキモい、とか言うくせに。」

「確かに吐くかも。」

ムスッとしている私とは対照的に笑いながら隼人は言う。

…本当私って可愛くない。

見た目も中身も。

見た目は

175cmもある身長

ショートカットの髪型

ほどよく筋肉質な体

私服は常にGパン

この前なんて買い物してたらメンズモデルにスカウトされたし。

中身も女らしさに欠けていて、言葉遣いも悪いし、性格もサバサバしてると言われる。

そんな私には可愛いの“可”の字も存在しない。

…でも可愛くなりたいって思う。

「隼人君!瑞姫!おはよう!」

「あっ、因幡おはよ。」

「陽菜おはよう。」

陽菜みたいに…

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