キンキョリレンアイ
「今日ちょっと寝坊しちゃったさ!」

陽菜の呼吸は少し乱れていて慌てて走ってきたのがわかる。

それなのに表情はとびきりの笑顔だ。

寝癖付いてるぞ、と隼人は陽菜の後頭部を優しく撫でる。

「えっ、嘘!?」

そう驚いた後に恥ずかしいなぁ、と顔を赤くして照れ笑いを隼人に向ける。

女の私でも陽菜は可愛いなと感じる。

男の隼人ならば尚更可愛く、そして愛おしく感じるだろう。

「ちょっと朝からバカップル見せつけないでよー。」

冷やかすように笑いながら心の中は辛い、と呟いていた。

「うっせー!ヤキモチ妬くなって!」

陽菜の頭をポンッと軽く叩いて右口角を上げて笑う。

「バーカ!自惚れんな!」

隼人の言葉に否定も肯定も出来ない。

でも、本当はすごくヤキモチを妬いているのだ。

…隼人がとても、とても大好きなのだ。

でも、私はそれを口にすることは許されない。

隼人は…

陽菜の…

親友の彼氏だから…

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