【完結】片想い結婚〜同期からのプロポーズは突然の一夜で〜


 夜になり、寝室のドアをそっと覗くと、千歳はまだ眠っていた。
 千歳のそばにより、冷えピタを外しておでこに手を当ててみる。

「ん……」

 千歳の熱は少し下がったようで、朝よりは少し熱が引いている感じがした。

「も……もこ……?」

「ごめん、起こしちゃった……?」

 新しい冷えピタに変えようとした時、千歳はゆっくりと目を覚ました。

「いや……大丈夫」

「体調はどう?」

 そう聞くと、千歳は「ちょっと、良くなった気がするかな」と答えてくれた。

「そっか、それは良かった」

 少しだけ顔色も良くなってきたみたいだ。ちょっとだけでも元気になってくれたら、私はそれで嬉しい。

「桃子のおかげだよ。……ありがと、桃子」

 千歳は目を細めながらも、優しく微笑む。

「ううん。夫の看病をするのは妻の役目なんだから、当たり前でしょ?」

「……ん、そう言ってもらえると心強いな」

 千歳の言葉に、私は「雑炊、食べれそう?」と、頭を撫でながら聞いてみる。

「ん……食べる」

 なんか……。なんか、弱ってる千歳って……。

「……可愛いね、千歳」

「はっ……?」
   
 すっごい、可愛い。いつもの千歳じゃないから、可愛い。
< 105 / 210 >

この作品をシェア

pagetop